今日は定休日ではありますが、せっかく会社に来ているので
当社の家づくりのコアな部分について触れようと思います。
コアな部分として、スタジオダイワの家づくりにおける説明をする際に、絶対に欠かせないのが2023年より標準仕様として
当社の採用しているFPパネル工法の家づくりです。
その中で地震にも断熱にも気密にも大いに関わりのある、性能を担保するFP硬質ウレタン断熱パネルについて説明します。
お客様からよく質問される、地震についての対策として…
「耐震」と「制振」って、何がどう違うの?
という、お話をこれまで何度も質問されまして、これは本当によくある疑問だと思います。
今回は、FP硬質ウレタン断熱パネルが耐震や制震にどんな効果があるかを書いていきたいと思います。
まず、私が作った下記にある地震の分布図ですが、マグニチュード6.0を超えるものを抜粋しておりますが、これほど多く大きな地震が発生しております。
マグニチュード6.0以下を拾うと、地図が真っ黒になるほど多くなります。

地図を見て頂いて、こんなに多くの大きな地震が定期的に起こっていることに恐怖を覚えます。
世界第4位の地震大国である日本には、北海道から九州にかけて、わかっているだけでも約2,000もの活断層があるそうです。
海底も含めるとさらに多くの活断層が存在すると考えられています。
最近よく目にすることで言えば、南海トラフ地震、千島海溝・日本海溝の地震、首都直下地震などが、近い将来に発生する可能性が高い巨大地震として知られています。
家づくりを考える上で若い方はもちろん、人生100年時代を考えれば、中高年の方でも存命中に発生する大地震の確率は80%を超えると思われます。
もはや、地震対策は当たり前であり、この考えからスタジオダイワでは耐震等級3の家づくりを当たり前の前提としております。
当社の考えは、大地震が発生した際にも、大切な家族の命や住まいという資産を守るために必要なのが地震に強い家造りであり、その際に求められるのが、住宅においての「耐震性能」であり「制振」という考えになります。
地震の力に耐える耐震とは?


「耐震」とは、筋交いや面材によって強度を高めて、地震の力に耐える為に家を固めるという工法です。
まず、揺らさないという考えで、小さな地震時には揺れを感じにくく、大きな地震の際も家全体が揺れにくく固められていることで、大きな損壊を起こさないように考えられた工法となります。
建築基準法で、1923年の関東大震災クラスの地震に耐えられる建物の強さを「耐震等級1」と定めました。
長らく改正されることのなかった耐震基準。
しかし、私が学生であったころの1995年に兵庫県南部地震「阪神淡路大震災」にて、想定を大きく超える地震波(818gal)が観測され、耐震等級1程度だと大きな地震の際に倒壊することが懸念され、これまでより高い強度でないと家が倒壊するという事が示されました。
この地震がきっかけとなり、耐震等級2と、耐震等級3が創設されより地震に強い家づくりが推奨されました。
簡単に言えば「耐震」は筋交(斜材)や耐力面材(パネル)によって固定強度を高め、横へ揺れる地震力に耐えること。
一定基準を超えた等級を持つ、耐震力を高めた住まいを耐震住宅と言います。
当社では1・2階建てを問わず、構造計算(許容応力度計算や品確法の基準)を用いて全棟で耐震等級3の家づくりを行っています。
地震の力を制御する制震とは?


「制震」とは、エネルギー吸収体を住宅に配置することで建物の揺れを抑える工法で、超高層ビルや橋にも採用されている、まだ歴史は浅いが注目を浴びている、最新の揺れ防止技術です。
制震だけの建物は地震に弱いので、まず耐震工法を重視し、耐震と制震を組み合わせ、より安全性を高めることが可能となります。
ずばり!制震とは、地震の運動エネルギーを熱エネルギーに変換し小さくすることであり、ようはブレーキのような考えです。
自転車をこいでブレーキをかけると、ブレーキの温度が上がります。これは、動いているタイヤの運動エネルギーが、摩擦によって熱エネルギーに変化するためです。
このように、制震装置は、エネルギーの変換役として、建物に損傷を与える地震エネルギーを減少させ、地震の揺れを制御します。
木造住宅は土台、柱、梁や水平面材を鋼材である構造金物で固定して固めます。
構造金物を留め付けるのはビスやくぎを使います。
これらは地震により揺れる力を受けるたびに、残念ながら緩んでいきます。
木造住宅に地震力が加わり揺れが起これば、素材違いの木造躯体と鋼材金物が激しく衝突します。
部材の強度を確認するにはヤング係数という強さの指針があり、木材と鋼材ではヤング係数が全く違います。
ヤング係数というのは、物体の変形のし易さ(し難さ)を測るための指標です。
ヤング係数が大きければ、その分だけ硬く、伸びにくく、変形しにくいとわかります。
一方、ヤング係数が小さいなら、軟らかく、伸びやすく、変形しやすいということです。
鉄なら木材よりもヤング係数は低いのですが、鋼材は木材よりもヤング係数が大きいので当然ながら木の方が変形を起こしめり込んだり割れたりして揺れる力に先に耐えられなくなります。
結果として木と金物固定穴に隙間が出来ます。
変形による緩みや歪が生じると、応力は弱い所に集中し、破壊され徐々にその力が広がります。
その様な考えから、金物と木材をできるだけ揺らさないという事で「制振」も耐震同様に重要なファクターを占めます。
できるだけ、躯体や金物に掛かる応力を集中させない事が、地震に耐えるという考えになります。
その様な考えにこだわれば、建物は更に強くなるのは言うまでもありません。
金物一つ、柱一つの取り付けにこだわり、理屈を知り、手を抜かず組み立てられた住まいは、繰り返し発生する地震に対しても高い効果を発揮できるんです。
それらの理を理解し、地震に対して強い家造りのみを行っている当社では、制振装置を採用することが多くありません。
ん?どうして?そのような声が聞こえてきそうですね。
では、そこまで知っているのに「制震ダンパー」等をあまり採用しないのは何故だと思いますか?
制振ダンパーに頼らないでも「制震で耐震」な家づくり
スタジオダイワでは、外と接している壁全体にFP硬質ウレタン断熱パネルを隙間なく充填しています。
そして、水平構面を支える天井、床にもFP硬質ウレタン断熱パネルを隙間なく打ち込まれています。


1棟毎に我々FPグループの工場で隙間のないパネルをオーダーメイドで制作。
木枠と硬質ウレタンが一体形成された、筋交入りパネルで耐力構成を配置しています。
しかも、このパネルは耐震等級の考えの際には、無いものとして構造計算しております。
硬質ウレタンと制震?耐震?そう疑問をお持ちの方もいるでしょう。
下記にその理由を説明させて頂きます。
木造住宅の構造躯体(柱・土台・梁・筋交い)は、耐震住宅と同様に構造金物を取付けます。
画像を見て頂ければ、一目瞭然ですがFPパネルには断熱材がたっぷりと充填されています。
この断熱材(硬質ウレタン)が凄いんです。

皆さんは、硬質ウレタンが地盤改良に利用されている事をご存知でしょうか?
軟弱地盤に硬質発泡ウレタン樹脂を注入し、柱状の硬化体を形成する工法があるんです。
環境ビジネス編集部の記事を参照

FPパネルに使われている硬質ウレタンの圧縮強度は4~6N/㎠(4.07~6.11t/㎡)です。
コンクリートや杭打ち工事に比べ、軽量且つ施工性の良い、この地盤改良工法は、まさに硬質ウレタンの圧縮強度を利用した工法だと思います。
この『硬質ウレタンの圧縮強度』が、構造を支える部材に加わる地震力を軽減してくれます。
なので、物理的根拠から制震効果を期待できます。
その上、構造計算にこの強度のある硬質ウレタンを省いておりますので、耐震等級3を担う構造躯体に、さらに予備の耐力壁として、制震力として住まいの構造躯体を全体的に支えています。

以前に行った、公的試験において片筋交入りのFPパネルの強度を確認した事がありました。
硬質ウレタンの入っていない通常の片筋交の壁倍率(壁の強さ)は2.0倍ですが、片筋交入りFPパネルの壁倍率は3.4倍の数字を記録しております。
よく見かける耐震等級1の普通の家に比べて実に1.7倍も強いことを数字で証明しております。
この数値が証明する物理的強さが「FP硬質ウレタン断熱パネル」なのです。

更に、2016年には、筋交の入っていないFP硬質ウレタン断熱パネルの強度を確認しています。
硬質ウレタンが入っていない、通常の筋交が入っていない壁の倍率は1.0倍です。
当然ですよね。
ですが、筋交いのないFP硬質ウレタン断熱パネルの壁倍率は2.1倍でした。
過去にはFPパネルの壁倍率を国交省より認定を受けていたのですが、より断熱数値を上げるために改良した結果、大臣認定は一度白紙となっておりますが、これって本当に凄いことなんです。
1棟1棟オーダーメイドにつき、既製品寸法が定まらず、全製品で耐震性を証明するにはとんでもないお金と時間がかかると思うので、致し方なしではあります。

ですが、紛れもない強度をもっております。
しかも、硬質ウレタンと木材って、相性が良いんです。
ですが、現場発泡のウレタンフォームでは無理です。
例えば現場発泡ウレタンを柱や間柱、筋交に吹き付けても強度も何も、壁倍率は変わらないと思います。
だって、柔らかいし、空気層が多く密度で言えばスカスカですから。
工場生産で、プレス機で圧縮されたFP硬質ウレタン断熱パネルだからこそ、建物の耐震力や制振力を高めてくれるんです。
自慢のFPグループの工場で、温度や湿度を管理しながら1枚1枚丁寧に製作したパネルですから・・・強くて当たり前です。
大事なのでもう一度言います。
スタジオダイワでは、このFP硬質ウレタン断熱パネルの実証された強さや耐震力を構造計算には加味していません。
FP硬質ウレタン断熱パネルの無い状態で、構造躯体を耐震等級3で計算しております。
バランス良く配置されたFPパネルの耐震力は、予備の耐力壁であり、予備の安心となるのです。
元々強いスタジオダイワの構造躯体。
いうなればFP硬質ウレタン断熱パネルは何かあった時の保険のようなものです。
私や営業がこの話をお客様にすれば、予備知識のある賢いお客様の大抵は制振装置の採用を見送ります。
制振装置はそれなりにコストも掛かり、本来は外周面に設置してこそ最大のパフォーマンスを発揮します。
ですが、外周面には断熱材も入り断熱材の欠損が起きます。
その結果、熱橋が生まれ錆びたり、ダンパーの動作不良も否めません。
いざという時に動いて欲しい制振装置ですが、施工が疎かであったり、対応年数が未知数であればそれに安心できますか?
それよりも物理的に強く制震の役割も担うFP硬質ウレタン断熱パネルが家全体を囲んでくれた方が安心しませんか?
強いだけじゃない!光熱費で大きな差が出る

耐震も制震もさることながら、断熱力にもたけたこのFP硬質ウレタン断熱パネルは、性能に力を入れている大手ハウスメーカーが採用しているネオマフォーム0.020W/(m・K)と同等以上の断熱力である0.019w/(m・k)を誇ります。
若干数値はいいのですが、これくらいは誤差です。
更に、ネオマフォームを使う大手メーカーは稀ですが、他の断熱材とは比較検討の土台が違います。
特に性能をパフォーマンスにしか考えていないような工務店は信用も出来ません。
ようするに、皆さんの良く知る相見積もりは、相見積もりになっていない事実に気づいてください。
物が違うのに価格勝負をしても…という感じです。
低燃費なハイブリッドカーや電気自動車を買いに来たのに、いつの間にか燃費の悪い大きなエンジンの車と比較しているようなもので、比べる内容が違うからです。
一方、一般的に採用されている比較的リーズナブルな現場発泡ウレタンの熱伝導率は0.038~0.034w/(m・k)程度です。
概ね2倍近い断熱力の違いがあります。
ですので住んでからの光熱費にも大きな差が生まれます。
初期投資を押さえたいあまり、できるだけコストのかからない住まいを建てるのではなく、初期通しは少し高く住宅ローンはが増えても、光熱費は安くなるスタジオダイワのすまいであれば、トータルで支払う額は安くなると言い切れます。

我々は性能(耐震、断熱、気密)を創業当時より一度たりともブレずに追いかけてきた会社です。
家は価格やデザイン等と言っている会社も今は、過去を無かったかのように「性能、性能」と口にしているのを目にします。
残念なことに、大手ハウスメーカーでさえその傾向があります。
ちなみに当社は一貫して家づくりは性能が大切であると言い続けて、デザイン売りの会社から馬鹿にされたりしてきた過去があります。
今は口が裂けても言えないと思いますが!そのように周りから言われても貫きました。
一度もブレず挫けず追い求めてきたのが性能です。
それが、住まいづくりをスタジオダイワへ依頼して下さるお客様への最大の恩返しだと思っていたから。
ついつい熱くなり、休日という事も忘れ気が付けば少し長めのブログになってしまいました。