現在、岡山の「一級建築士事務所 平野建築設計室」より
古民家再生工事の依頼を受け、強固なタッグを組んで
新居浜市の古民家再生工事に着手しております。
弊社の代表が古民家再生協会愛媛の理事ということもあり
施工主からの直接の依頼とは別に、このような仕事の依頼を受けます。
古民家だけではなく建築分野でも「商業建築」「住宅建築」など
幅広く、遠方の設計事務所からの依頼もあり、通常ではあまり体験できない
細部納まりや構造仕口に到るまで、貴重な技術の取得や知識の構築などを
経験させて頂いております。(ありがたいことです)
現在施工中の新居浜市の物件は、築年数100年を超えた物件で
工事着手まで、何度も現場検証へ足を運んだり、見積もりの為に
一部を解体して構造躯体の検討をしたりと、大変に長い期間が掛かりました。
先のブログにある、弊社の鈴木のご主人さんの実家もすごいのですが
こちらも築年数は同等の年齢なのかなと思います。
現場内の敷地も数百坪あります。
そこに母屋と納屋があり、母屋は何度か手入れされて増築されています。
古民家は改造や増築があると、大きく建物構造が変わる為、その調査にも
時間がかかるということです。
(工事着手前の屋内の様子)
建物床下にはこのような大きな「芋壺」が2か所も顔を表しました。
土の状態から以前に水害に合ったのは一目瞭然です。
古民家は基礎が天然礎石であり、今のコンクリート基礎のように高さがなく
その上に土台を敷いているだけで、固定はされていません。
現在は解体工事が終わり、増築部分の撤去も終わりました。
足元根がらみの補強や腐った柱の根継、礎石基礎の光付け作業など
着々と工事が進行しております。
古民家再生で大切なことは、
・まず構造躯体の検討を十分に行うこと
・経験のある有識者が指揮に立つこと
・設計図、施工図を必ず準備すること
・断熱計画を疎かにしないこと
・大きく構造を改造しないこと
など、築年数の浅い物件の通常のリフォームよりも慎重に
検討しなくてはなりません。
下準備が整い、初めて工事着手。
地元の神社で着工式も執り行いました。
下の画像からは解体が終わった様子。
解体後は必ず、下の画像のように仮筋交をいれて、建物が変形しない
ような措置をしなくてはなりません。
これをしないと、必ず完成後の家は傾いています。
古民家は耐震的な建物ではなく、揺れに対して逆らわない免震的構造。
というこは、解体後は風でも大きく揺れ傾き変形が生じます。
2つあった芋壺は1つは生活上そして、くたいにとっても危険なため埋設。
玄関を解体するとたたきの土間が出現しました。
そしてその先の天井を見ると、いい具合に燻されています。(下の画像)
これは玄関から通じる「おくどさん」(台所)があったことが
想像できます。
燻し天井に敷き詰めてあった、これまた燻された竹は貴重なので
撤去後に再利用する予定。
ここで一つ豆知識!
今でも使う言葉で「たたき上げ」という言葉があると思います。
たたき土間は文字通り土に石灰を混ぜて何度も何度も「たたき仕上げ」ます。
今より昔は、大工に弟子入りすると親方からこのたたき土間を任され
それが一人前になると「たたきから床の上に上がる」造作工事に移る
たたきから上に上がる→たたきあげ
という通説が有力です。
意味はこの説明の通り「下積みから努力して一人前になる」です
梁などは複雑な仕口により金物を使わず接続されていて、綺麗に
取り除くことは不可能。
複雑な仕口は木と一体化して抜き差しなりません。さすがです。
礎石の上には見事に光付けされた束柱がたっております。
光付けは凹凸のある石の上に鏡で映したような細工をし真っ直ぐ
柱が立つよう木を刻む技法。
石張りされて足元が隠れていた屋根支え柱。
石を剥がすと見事に足元が腐朽していました。
これらは室内にも何か所もありましたので、再生可能なものは根継による
補強を施し、ダメなものは抜き替えします。
現場に届いた木材に墨付けし間配りしました。
これらの柱や梁で古民家に新たな息吹を吹き込んでいきます。
今日時点ではもう少し作業が進んでいますので
また報告していきたいと思います。